日常茶飯事とCDコレクション
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90年代前半、奇妙な和みの時間  たま

 90年代前半という、4たま時代(知久寿焼、柳原幼一郎、滝本晃司、石川浩司、1995年末に柳原が抜けて3たま時代となり、2003年まで存続)は、世の中が大きく動き出した時期で、バブルの崩壊、社会主義体制国の瓦解(91年にソヴィエト連邦解体)、自民党政治の終焉・政治の混乱が明確化、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ内戦・「文明の衝突」の開始、そして95年の阪神淡路大震災、オウム真理教事件の2大事件。
 こうして書いてみれば大きな流れが現在に繋がっていることがよく判るが、生活していると毎日に大きな変化があるわけではないので、テレビを見ながら「ほー」とか「へー」とか気の抜けたような嘆息しか出ないわけだ、当時は自分も30歳代前半、世間的には一番仕事に邁進しなければならない時期という認識かもしれないが、個人的には非常に優秀な部下が付いて楽なものであった。子供が保育園に行くなど経済的には厳しい面があったが、どうしようもなく貧乏という感じでもなく生活にもそれなりの張りがあり、個人的には楽しい時期であったような気がする。しかし、小遣い面は厳しく今のように気楽にCDを買えるということはなかった、90年代の音楽にリアルタイムで聴いた感じがしないのはたぶんそのせいだと思う。

 そんなざわついた世の中で、バブルの最後期の頃人気があったのが「いかすバンド天国」略して「イカ天」、様々なバンドが出ていたが、どちらかというとヴィジュアル系が多かった印象、それなりに技術を磨き、難しいことをやらずとも自分たちの身の丈にあった音楽をやっていたのには好感が持てた。そんななか、個性的といえば最も個性的であったのが「たま」。エレキ系のバンドが多い中、純粋アコースティック系で、暗いんだか明るいんだか、何を言いたいのか判らないけど懐かしい感じの歌詞とか曲調に合わせた楽器の持ち替えなど、見た目のお気楽さと違ったところもあって注目の的となった訳だ。
 バンドは、リーダーの意思によって方向性が決まる。同じミュージシャンを使っても全く違う音楽を作ることも可能で、アメリカ西海岸RIOや日本のアンダーグラウンド・シーンなど少ないミュージシャンが離散集合する場合に顕著だ。
 しかし、たまを見ると明確な音楽的リーダーがいないし、4thなどは、4人のメンバーがきっちり3曲づつ曲を書いている。これである意味堅固な「たま的世界」を築き上げているのは驚きで、よく見れば、それぞれ4人が少しずつ違ってはいるけれど、全体は纏まったたまの世界である訳だ。Beatles は好きではないけれど、似たところが多く、知久がレノン、柳原がマッカートニー、滝本がハリソン、石川がリンゴ(リンゴよりも才能はずっと上だと思うが)に当るといえば、ぴったりな感じだ。作り上げた世界観は全くといっていいほど違うが。

a0248963_1719063.jpg メジャー・デビューは、90年、「さんだる」。イカ天出場曲を中心に構成されているが、実はこのアルバム、自分としてはあまり好きではない。日本のフォークに有り勝ちな貧乏臭さみたいなのがあるのと、滝本の「日本でよかった」「ワルツおぼえて」が詰まらない(すみません、滝本ファンの皆さん)こと、石川の「学校にまにあわない」が長すぎること、などでちょっとがっかりしたものだ。「方向音痴」やイカ天で披露した曲など佳曲も多いし、「らんちう」など偏愛する1曲なのであるが。
 売り出しには相当な気合いが入っていて、プラ・ケースではなく紙製の箱型のCDケース、1枚づつに分かれた歌詞カードなど、なかなかのものだが、それよりももうちょっと楽曲の選定にも力を入れたら、という感じ。

a0248963_17194524.jpg 2枚目が「ひるね」、91年。前作からわずか半年で出た本作、編曲面、楽曲のヴァラェティー、曲自体の出来、曲の順序など、前作を遥かに上回っており、初期の代表作といってよい。特に滝本の「海にうつる月」はインストルメンテーションも特異で(石川がオルガンを担当、柳原のピアノとの対比が素晴らしい)、シングル・カットされたのもよく判る傑作。
 編曲面では、先の「海にうつる月」をはじめ、「金魚鉢」「むし」など、細かなアイディアが盛り込まれており、それをライヴでも披露してしまうという凄いことを行っている。
 各人の個性も明確化され、明るい柳原、ほの暗い知久、抑揚の少ない不安定に安定している滝本、ダダ的アナーキスト石川と、これらが渾然一体となって「たま的世界」を構成するようになるわけだ。

a0248963_1720857.jpg 3枚目が「きゃべつ」、91年録音。イギリス、マナー・スタジオでの録音ということだが、音はやや籠り気味であまり良いとはいえない。
 本作で滝本のソングライターとしての才能が開花したようだ。11曲中3曲が彼の曲で、抑揚の少ない暗いんだか明るいんだか判らないような曲調が、籠り気味の録音に妙にマッチしている。ただし「こわれた」はメッセージ性が強すぎる感じ。
 柳原は代表曲「満月小唄」の素晴らしさは言うまでもないが、他の2曲が軽すぎる。知久も有名な「おやすみいのしし」にライヴの躍動感がなくこじんまり纏まっていて、やや物足りない。他の2曲も同様。石川は我が道を行っているが、曲自体の魅力に欠ける。
 ということで、さんざん文句を言っている感じだが、嫌いなのかというとそういうことはない、ほの暗い雰囲気が全体的にあり(柳原のおふざけ曲にも、知久のいのししにも)、そこがそこはかとなく好き、に繋がっているのだろう。

 よくコンサートには行って、子供を連れて行ったこともあったが、あまりに気持ちが良いのか、寝てしまったこともあった。特に94年だったか、「たまのお歳暮」と銘打ったコンサートは、3時間以上に及び、過剰なMCもなく、彼らの世界を堪能出来た素晴らしいパフォーマンスであった。

a0248963_1720428.jpg 最後に「たま ナゴム・コレクション」。メジャー・デビュー前の録音集成。88年から89年の録音。音は悪いが、彼らの代表曲の多くがこの時期までに確立されていたことを示すアルバム。これだけの曲のストックがあれば、もう少しファースト・アルバムの選曲にも方法があったのではないか、と思ってしまうのだが。メジャー・アルバムに入ってない曲では、柳原の「満月ブギ」が不思議な雰囲気を持った曲。好き放題やっている感じがマイナー盤の良さ。

 後半戦は、彼らのフリークス好きについて見て行きたいと思うのだが、何時のことになることやら、他にも書きたいミュージシャンはいっぱい居るのだから。
 
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by ay0626 | 2012-03-25 13:19 | folk