日常茶飯事とCDコレクション
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ジョージア3部作 + Vista マリオン・ブラウン

 ジョージア州といえば、アメリカ南東部に位置する自然豊かな州というイメージが強い。州都のアトランタで1996年にオリンピックが開かれたことでも有名(スポーツには殆ど関心がない自分にとっては、さして重要なことではないが)。

 ジョージア州で有名なのは、綿。コットン・フィールドという綿花畑が美しい風景を形作るそうな。しかしながら、昔は奴隷が劣悪な条件で働かされていた場所であったのも事実。ヨーロッパ人はヒューマニズムみたいなことを言いながら、それは白人間のことだけだよ、という確固たる信念があったようで、奴隷制度が廃止された後でも、州単位では人種差別を合法化する法律が出来るなど、ずっと差別は残り続け、1950年代から60年代にかけてキング牧師の公民権運動を経て、やっと少しずつ改善されていくことになる。日本人も人種差別の対象であって、第二次世界大戦中、同じ敵性国民でも日系人は強制収容所に入れられたが、ドイツ系に対してはそんなことはなかった、ということが有色人に対する差別意識を雄弁に語っている。

 人間は、まずコミュニケーションを取れないとダメ、次に姿形が似通っていないとダメの2重となった差別構造があるようだ。理解できない言語で話をされれば、悪口を言われているのではないのか、悪事の相談をしているのではないか、と思うのは当然であって、悪事を働けば皆殺してしまえばよい、と思う某イギリス人は、自分の召使にしか英語を教えなかったようだが、真面目な日本人は、朝鮮民族や台湾人に日本語を強制するものだから嫌われてしまった。
 姿形でいえば、アフリカの多くの民族でアルビノ(色素欠乏症)の子供が生まれると、すぐに殺してしまう例も多いと聴く。もともと、奴隷としてアメリカ大陸に売られた黒人の多くは、黒人部族間の争いで捕まって、ちゃんと代金を白人が支払って(?)輸出されたものらしい。昔はやったドラマのルーツのように白人様御自ら狩に行くことは殆どなかったようだ。黒人間でも、言語の違いだの、ちょっとした見てくれの違いなどで、(日本人にはそう見える)同胞をいとも簡単に売り払ったようだ。

 こう考えるとジョン・レノンのお気楽な「イマジン」の世界など到底出来ようもないが、情報が世界中何処でも簡単に手に入れられることだけがあからさまな差別を抑える唯一の手段かもしれないと思う。少数派を常に差別の対象としてしまうのは、人間の本能かも知れない。

 ということで、Marion Brown 、ジョージア州の出身で2010年に亡くなった。最初の録音が John Coltrane の Ascention であったり、初期には ESP レーベルに属したりでフリーの人のように思われているが、録音ごとの変化の大きい人で、特に70年からその中盤にかけての変化が大きい。所持しているのは、ジョージア3部作と Vista 、1970年から75年の作品のみ。

a0248963_18321513.jpg 3部作最初の作品は、ECM からリリースされた Afternoon of a Georgia Faun 1970年作品。Afternoon of a Georgia Faun と Djinji's Corner の2曲のみ。最初の曲は如何にも ECM といった靄に包まれたような現代音楽風の作品であり、もちろんこれはドビッシーの有名曲のもじりだろうから、その雰囲気も十分に出ている。特に効果的なパーカッション群が印象に残る。2曲目は、フリーといえばフリーだが、熱く吹きまくるような感じでもなく、声の入り方も現代音楽風であり、1曲目をもっとジャズよりにしてみました、と言う感じ。初期のフリー系の録音を出していた ECM の好きそうな感じではある。

a0248963_18324041.jpg 第2部は、Impulse からの Geechee Recollections 1973年作品。Geechee というのは、ガラ人のジョージア州での呼び名で、どの地域の黒人集団よりもアフリカの文化や言語を色濃く残すコミュニティーとして有名のようだ。題名は、従ってジーチー文化の再収集といったところか。
 まだ、フリー的な部分はかなり残しており、2曲目 Karintha などは、全編ポエットリー・リーディングの後ろで弦や管が蠢くといったところで、頭でっかちフリーの印象。もともと教師をしていたと言うインテリとして見れば、納得いくところ。後半の Tkalokaloka (意味不明) などは、フリーではあるが、前作の2曲目よりも余程大人しく、落ち着きのある印象で良い。

a0248963_1833021.jpg 第3部が、傑作との声も高い Sweet Earth Flying 、1974年作品、Impulse より。ここまで来るとどう見たってフリーではない、フリーは香りのみで、実はフュージョンと言った感じ。Muhal Richard Abrams と Paul Bley というフリー界のインテリジェンスの塊みたいな2人をキーボード(最も印象的なのが、エレクトリック・ピアノ)に据え、後はドラムス・ベース、自身のサキソフォンというシンプルな編成。特に出だしのエレピの美しさは絶品で、アルバム全体を象徴しているよう。傑作。

a0248963_18332914.jpg この2作、長い間廃盤となっていて、アマゾンのマーケット・プレイスではバカ高い値段が付いていて手が出なかったもの。2011年になって、Impulse 2 in 1 シリーズでやっとまともな値段で買えるようになった。収録時間も極限の79分超えという、サービス満点ぶり。できれば、Sweet Earth Flying のお蔵入りとなっている Part2 まで含めた完全版2枚組で出して欲しかった。しかし、そうすると 2 in 1 とはならない訳だが。


a0248963_1833501.jpg そして Impulse の最終作となるのが、1975年の Vista 。ここまで来ると完全にフュージョンといってよい。それにしても、このアルバムの美しさは、数年前までフリーをやっていた人とは到底思えない。もともとは、こういう音楽がやりたかったのか、それとも年齢から来る円熟(当時44歳)からか、それともフリーに対する根性がなくなったせいか。
 ここでも Anthony Davis と Stanley Cowell という個性の強いピアニスト(加えて Bill Braynon が3人目として加わる曲もあり)にエレピを弾かせ、個性的でありながら、叙情的に仕上げてある。これも長い間廃盤となっていて、日本で久しぶりに再発されたのは、日本人の感性に合ったからなのか、それにしても復刻者は良い選択をしたものだ。

 なにか音楽ブログとは離れてきたか。ま、無駄話と音楽、が表題だからそこんところは許して頂くとして。
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by ay0626 | 2012-04-21 17:11 | jazz