日常茶飯事とCDコレクション
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薄っぺらな感覚と忘れられない声 スラップ・ハッピー

 朝から晴れた空は、それでも若干靄が掛かって、やはり春の空。目が乾くのは、歳のせいか、花粉のせいか、ただ単に空気が乾燥しているせいか。加湿器の掛かった部屋では不快感を感じないので、空気のせいということで。

 金曜日、仕事というのは人間にとって何なんだろう、と思うようなことがあった。自分にとっては、仕事とは生活の糧以上の意味はないが、生き甲斐にしている人もいる。賃金以上に仕事をして、それで喜びを感じる、それをいけないと他人がいうことでもないだろうが、どうも傍で見ているのが嫌になってくる。それじゃあ、見なければ良いのに、ついつい見てしまう、例えばエレファント・マンを見に行く人のように。デイヴィッド・リンチの『エレファント・マン』、心温まる物語、ヒューマニズムの物語のように日本では喧伝されたが、先入観なしに見りゃ判る、あれは唯のフリークスに対する猟奇的な興味で撮られた映画だと。同じことで、身を削って一生懸命仕事をすることが一部の人には大変な美徳であるのに、同じ人を自ら率先して搾取の対象になる醜い人々と感じる人もいるのだという事実。力んでも仕方ないが、そこら辺の価値観には深い溝があるように思えて仕方ない。

 また、訳の判らない前振りから入りまして申し訳ない、はっきり書くといろいろ差し障りもあるので。自分が怠惰な考え方の持ち主だということのみ書きたいだけであります、本当。

 今回は、エピキュリアン達が、ひょんなことから思想に染まりそうになってしまう、その一歩手前で留まった(しかしながら一人は取り込まれてしまう訳だが)、そんな感じの集団 Slapp Happy について。
 Slapp Happy は、1970年代初期、イギリス人(Anthony Moore)、ドイツ人(Dagmar Krause)、アメリカ人(Peter Blegvad) で作られたポップ・グループ。ポップ・グループといっても Anthony Moore は現代音楽畑の人で、初期の3枚のアルバム(『Pieces from the Cloudland Ballroom (1971)』、『Reed Whistle and Sticks (1972)』、『Secrets of the Blue Bag(1972)』)は、まるでその通りの現代音楽、自分ももってはいるが片手の指の数ほどの回数も聴いていない。まぁ、そんな人のグループなので、ポップ・グループといっても・・・・。

a0248963_17412985.jpg 最初のアルバムが Sort of 、1972年。ドイツの Polydor から、なんとメジャー・レーベル!Uwe Nettelbeck という山師的なプロデューサーの甘言に乗せられたのが Polydor 、Fausut や Slapp Happy のアルバムを作った。全く売れるはずもなく、Faust のファーストなど1,000枚も売れなかったという。しかし、今度はイギリスの Virgin が目を付ける。Faust の Faust Tapes など話題作りに LP を EP の値段で売り、間違ってヒット・チャート入りなどもしてしまう。変な時代であったことは確か。
 このアルバムは、Slapp Happy の3人に加えて、Faust の Werner "Zappi" Diermaier (ds)、Jean-Hervé Péron (b)、Gunther Wüsthoff (sax) が演奏。もともと Faust の演奏自体、薄っぺらというか、特にドラムなど単調でその印象が強いのだが、このアルバムでもそんなところが出ていて、今聴くと余り魅力的とは言い難い。このアルバム、ずっと廃盤の状態で、CD 化されたのが1999年になってから、ということもあって Casablanca Moon を聴き慣れた耳には何とも聴き所の少ないように感じたものだ。

a0248963_17414882.jpg 2枚目は、Virgin から出た Slapp Happy (Casablanca Moon)、1974年。ヴァイオリンに導かれる Casablanca Moon から始まる本作品、奇妙な明るさに加えて曲の良さもあって、非常に好きな作品。多数のゲスト・ミュージシャンを加え、様々な楽器の響きもカラフル。もともと、Blegvad だけじゃなく Moore にもポップな部分が多分にあり、ソングライターとしての才能がここで一気に花開いたという感じなのだろうが、やっぱりちょっと捻った(世の中を斜めに見るような、言葉をこね回したような)ところは一般受けするものではなかったようだ。この作品は1993年に Desperate Straights と2in1の形でCD化されたが、11曲目までが本作、12曲目以降が Desperate ~、そこで雰囲気がガラリと変わる感じが聴いていても明確に判って、ちょっとビックリした。

a0248963_17425422.jpg 2枚目のドイツ録音版というべき作品が、Acnalbasac Noom (Casablanca Moon の逆綴り)、イギリスの Recommended Record から1980年に発売されたもの。この作品は、1973年の録音、殆どの曲が Casablanca Moon と重複している、というより Casablanca Moon は編曲を変えて再録音されたという方が正しい。結局のところ、Polydor が Nettelbeck に騙されたことをようやく悟って、本作をお蔵入りさせた、ということだろう。
 ここでも Faust のメンバーが加わっている、Wüsthoff のクレジットはあるが余りサックスの音は聴こえないような気がするのだが。Casablanca Moon に比べるとあっさりとした印象、音がクリアに取れており、Dagmar の特徴的な声が気持ちが良い。

a0248963_17431237.jpg Henry Cow と合体後、Slapp Happy を主体として作成されたのが Desperate Straights 、1975年。もう1作、Henry Cow 主体で作成されたのが In Praise of Learning。
 1993年に Casablanca Moon とカップリングで CD 化され、その後単独で発売もされた。先ほども書いたが、Casablanca Moon と続けて聴くと、その違いにビックリする、何しろ冷たい、厳しい印象のアルバムなのだ。アルバム題名も、和訳すれば『絶望へ、一本道』といった感じか、Dagmar の声も掠れて鬼気迫る感じだし、途中ジャズ風の曲(Desperate Straights)や最後のインスト曲(Caucasian Lullaby)も峻厳そのもの。享楽的な Blegvad だけでなく遊び心のあった Moore も Cow の思想に付いて行ける人ではなかったのであろう、Cow との合体期間は非常に短く終わり、しかし Dagmar だけは Cow に残るという奇妙な結果に終わる。Dagmar は、その後 Art Bears や News from Babel にも加わり、80年代半ばまで Cow 一派と行動を共にする。

a0248963_1743458.jpg その後、長い休止期間を置いて Ça Va (OK の意)が発表される、1998年。力の抜けた、落ち着いたポップになっており、そういう意味では歳を取ってきたのかも。この時、Moore 50歳、Dagmar 48歳、Blegvad 47歳。皆、地が出たというか、好きな音楽を素直にやるようになってきたということだろう。特に Dagmar の声にキンキンした感じがなくなり、非常に落ち着いた(その分、特徴も失くしてしまったともいえるが)分、聴き易くなっている。ジャケットデザインもなかなか洒落た感じである。
 このあと、Slapp Happy 名義では2001年に Live in Japan というアルバムがあるが、アルバムを購入するまでの興味はなくなっていた。

 Henry Cow という存在がなければ、今でも聴かれるグループであったか。Blegvad も Moore もそれなりに才能のある人だから何枚かのアルバムを残したろうが、ここまで残る人たちであったかどうか疑問、思想に馴染めなくとも、それ故後に残る、それをどんな風に感じているのだろうか。
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by ay0626 | 2013-03-17 17:31 | rock