大人のロック、洗練された音、歌 ロキシー・ミュージック (2)
そういえば、東京で俳優候補が60万票以上獲得して当選してしまうということがあった。原発ネタ一本で、科学的根拠に欠ける話をアジリにアジって、新左翼(何十年も前に出来たのに未だに「新」とはこれ如何)の支援を受けていることまで明らかなのに、60万人以上の投票者がいるなど驚きである。衆愚政治と貶めるのは簡単だが、民意なんてそんなものかも知れない。
菅ちゃん鳩ちゃんも切れない民主党は完全に退場だし、全く今の世の中に不必要な「生活の党」だの「緑の風」だの「社民党」だのは消滅ないし消滅目前、当然といったところだろう。小沢某、今度は共産党とでも組めばどうか。
ドラクエ7が終わったので、ちょっとは読書を。西澤保彦さんの『ぬいぐるみ警部の帰還』。ユーモア推理とあるが、ユーモアは少なめ、いつもの西澤流変人オンパレード。「サイクル・キッズ・リターン」、「類似の伝言」、「レイディ・イン・ブラック」の被害者はどれも西澤さんの作品によく出てくる「思い込み激しい型粘着質」の典型で、暗い『彼女はもういない』の犯人のお仲間さん。そうした人たちが、その性格通りの行動を取ることで、犯罪が発生する、殺されるまでのことは誰もしてないが。それにしても、女性陣の現実性(「誘拐の裏手」のお二人を除く)と見事対をなしている。西澤さんの作品では特によいという訳ではないが、サクッと読めました。
ということで、久しぶりに Roxy Music 。1975年に一旦解散するが、78年に再結成。初期のとっちらかった溌剌さは全くなくなって、洗練された大人の音楽に・・・といえば聴こえはいいが、どちらかといえばよく出来た歌謡曲っぽくなってしまいました、とも感じる。しかし、車の中で Avalon はよく聴いたなぁ。
1979年、Manifesto 。この言葉も良く聴くようになりましたね、民主党さんはこれで大コケしました。マネキンと本物の人間が大勢写る洒落たジャケット。音楽も相当洗練され、スタジオ・ミュージシャンを集めてやるのと変わらない。メンバーは、Bryan Ferry、Andy Mackay、Phil Manzanera が中心。ドラムは、Paul Thompson であったが、腕の故障で後に交替する。
全英チャートで7位までいったようだが、自分にとっては非常に印象の薄いアルバム。初期の輝く感じが消えて落ち着いたポップに変化していく過程、音楽には弾けたところがないとなぁ、なんて思う。もっとも、このアルバムを購入したのはほんの4~5年前、一所懸命聴く訳もない。
1980年、Flesh and Blood 。全英チャート1位に輝く。何といってもジャケットが良い、Roxy の派手目、エッチ目な名ジャケット群にあっても、このセンスは凄いとしかいいようがない。表ジャケットはお姐さん2人しか写ってないが、裏を返せばもう一人、勿論槍が3本写っているから3人いるのかなあ、というのは判る仕組みになっている。これらのジャケット写真は多分 Ferry さんの趣味、そういえば Siren のモデルさんは当時 Ferry さんの彼女だったが、後に Rolling Stones の Mick Jagger のお嫁さんになってしまうのである、よくある系統の話。このアルバムもそう熱心に聴いた訳でもなく、楽曲でも Same Old Scene (映画 Times Square で使用されたとか)が若干印象に残るくらい。全英1位になったのだから、聴き込めばそれなりによいのだろうが、今更ねぇ。
1982年、Avalon 、大傑作アルバム。このアルバムは出て直ぐに聴いて(どういう経緯でかは忘れたが)、テープに取って(だから多分、貸しレコード屋で借りてきたのだろう)、車の中で流していた。今ほどアーサー王伝説が有名でなく、Avalon って鮑のことか、それにしてはスペルが違うよな、などと呟いていたのを思い出す。勿論、Avalon とは島の名前で林檎で名高い楽園、アーサー王の終焉の地。
最初の More Than This から絶好調で Avalon など何度聴いても良い。スタジオ・ミュージシャン中心の上手いけれど、歌伴奏そのものの演奏で、別に個々のミュージシャンの名前が気になるということはない。歌が聴ければそれでよいなら、またのめり込んで聴くわけでもなければ、気持ちのよい音。「大人の音楽」は真剣に聴いちゃあいけない、BGMとして、品良く流れて他事を邪魔しないものが一番良いのかも。
1990年、1982年のツアーの模様を収めた Heart Still Beating がリリースされる。このアルバムには、1981年に John Lennon 追悼のためにシングルで発売された Jealous Guy が収められている。Lennon は1980年12月に殺されたのだが、当時も今も Beatles には全く興味がなくて「あ、そう」という感じだったが、世間ではかなりの騒ぎになっていた。この Jealous Guy は多分最初のソロ・アルバムに収録されていた作品、中学の頃、友人に洋楽好きの奴がいて(多分そいつの兄が好きだったのだろう)、良く鼻歌でこの曲を歌っていた。Jealous Guy が「嫉妬深い男」ということも知らずに。メロディーは確かに良いとは思うが、やはり Mother のほうが好きかな。
学生諸君は夏休みか。会社でも予算の見直しが始まって、忙しい部署はこのクソ暑い中ごくろうさんなことだが、自分の部署はそうでもない。取れるうちに休暇を取ろうか、とってもやることないしなぁ。