日常茶飯事とCDコレクション
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韓国トリオ、冷静な狂気 姜泰煥 (4)

 今週もライブに出かけようかと思っている。姜泰煥と土取利行のデュオ、楽しみ。

 という訳で予習の意味もあって、姜泰煥の韓国トリオ作品を聴くことにした。韓国の大統領が交代して、北朝鮮がそれに付け入って工業団地の締め出しなど揺さぶりをかけている。今の大統領のお父さんも大統領で、民族分断国家の常で独裁体制を敷き、しかし軍事にお金をかけても経済をあれだけ発展させたのだから、大した人であったことは間違いないだろう。お父さんもお母さんも暗殺されてしまったのだから、現大統領は悲劇のヒロインといったところ。思い出すのは、ミヤンマーのアウン・サウン・スーチーやフィリピンのコラソン・アキノ、悲劇は女性に似合うということか。本人の実力以上のもの(過去からの光)を民衆は彼女たちの上に見てしまうのだろう。男性はこの点、全くの不利、英国チャールズ皇太子を見よ。

 3DSのために頭と指先がサルになってしまったので、これ以上の作文は無理。

 ということで姜泰煥の韓国トリオの作品、2枚。姜泰煥は、活動初期の頃(1978年)、パーカッションの金大煥(Kim Dae Hwan)とトランペットの崔善培(Choi Sun Bae)とトリオを組んで、最初のリーダー・アルバムにもこのトリオの演奏が収められている(興味のある方はこのブログでも紹介しておりますのでご覧ください)が、その後はソロ中心に、トン・クラミの2枚のアルバムがある程度。その意味では興味深いアルバムなのだ。
 この2枚、何れも韓国盤、Improvised Memories は多分東京のディスク・ユニオンのお茶の水店で、Isaiah は通信販売で(あまり有名なところではなかったが)購入したもの。

a0248963_21441998.jpg Improvised Memories、2002年12月録音。美妍(Miyeon, p)、 朴在千(Park Je Chun, perc)とのトリオ。美妍さんと 朴在千さんは夫婦らしい。分散音が現代音楽風なピアノと殆どシンバルを鳴らさず、低い音の多いパーカッションに姜さんのロングトーンがマッチして、非常に緊密な音を生成している。例えば、富樫雅彦と佐藤允彦とのトリオ演奏とは全く異なる印象、富樫~佐藤との演奏はやはりジャズ的な要素が多く、それに比べ本作は、民族要素(Park のパーカッション)と現代音楽要素(Miyeon のピアノ)の折衷であるといっていいのではないか、熱くならない冷静さがちょっとアブナさを感じさせる音楽。ちょっと変な言い回しになってしまって(間章風を気取った訳ではない、ただ頭の中がサル化しているだけだ)、言いたいことが上手く言えない。

a0248963_21444660.jpg 2枚目は、Isaiah 、2005年3月録音。500枚限定でリリース、自分の持っているものは206という数字が書いてある。題名はキリスト教の預言者イザヤのこと、韓国では戦後クリスチャンが増え、姜さんもクリスチャンとのこと。
 変わった装丁のCDで、厚い表紙の2面デジパック、表紙裏には、イザヤ書の6章9節から『 You will go on hearing, but learning nothing. You will go on seeing, but without getting wiser.』とのみ書かれている。どういう意味で読んだらいいんでしょうか「聞き続けよ、しかし何も学ぶな。見続けよ、しかし悟ってはならない」。インプロを聴くときの心構えを説いたもの、といえば神様のバチが当るか、当っても本当にそれが神様のバチと判るかが問題。
 50分途切れることなく続く演奏、便宜的に6パートに分けてある。各人のソロを取り混ぜて、それでもパート3の姜さんのソロはゆったりとしたリズムを刻みながら時にロングトーンを交えるところが素晴らしい出来。

 今週はちょっと色々あって忙しくなりそう。クール・ビズに馴れ切ってしまうと偶にネクタイ締めて上着着て、が嫌で嫌で、しかしそれも給料のうち。せいぜい、気温が上がらぬことを祈りましょう。
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by ay0626 | 2013-06-23 20:40 | free improvisation

ソロとデュオ 姜泰煥 (3)

 昨年は、近隣諸国ともめた年であった。竹島に韓国大統領は行ってしまうは、尖閣諸島周辺の海域に中国の船が入ってくるは、おまけに日本系のスーパーや工場を破壊するは、話題には事欠かなかった。ニュースはもちろん、一番酷いところ、過激なシーンしか映さないので(平穏無事な光景を映しても何の面白みもない、誰も見ない、番組なぞ見てもらって何ぼの世界)、韓国の人や中国の人が皆が皆あんな風とは思わないが、却って自民党の大勝に利したところはあったのではないかと思う。

 音楽の世界だと、好きか嫌いかはっきりしていて良い。好きなミュージシャンが良い人とは限らないが。

 年明けだと書くネタが全くない。まあ、冒頭お茶を濁して、それでも韓国のインプロヴァイザー、姜泰煥の3回目。昨日の Etron Fou に続いて姜泰煥、どうも正月に聴くような音楽でもないが、選んでしまったものは仕方がない。今回は、2000年と2002年に発表された3作。

a0248963_2074825.jpg 2000年の作品は Clearness 。CD-R 2枚組で300枚限定、自分の持っているものは068/300とナンバーが入っている。本作品は多分、名古屋の得三というライヴ・ハウスで初めて姜泰煥を生で見たときに購入したもの。DVD サイズのケースに2枚の CD-R が収まっている。
 1枚目は、一楽儀光とのデュオ、約54分の作品、1999年11月防府市の「印度洋」でのライヴ。一楽氏は、1959年の生まれ(ということは殆ど同じ年)、ドラムを演奏し、エレクトロニクスの音を加えている。全く激しい音楽ではない、むしろ淡々と進行している感じ、姜泰煥も中音域で豊かな音量を響かせている。一楽氏のドラムはあまりシンバルを叩かず、和太鼓のような雰囲気が漂う。声のようなエレクトロニクスの音が儀式的な雰囲気を醸し出す。
 2枚目は、内橋和久とのデュオ、約53分、1999年11月神戸「Big Apple」と広島「Otis」でのライヴ録音。内橋氏も1959年の生まれ、やっぱり有名なのはナスノミツルと芳垣安洋とのアルタード・ステーツ、即興でそこまでやれるのか(そういえば Cassiber の紹介でもこんなフレーズ書いたっけ)と感心してしまう演奏を繰り広げる(とはいっても見たのは1回だけだが)。あとは、ドイツのインプロヴァイザー、ギタリストの Hans Reichel とのコラボレーション。Reichel は2011年の暮れに死んでしまったけれど、彼の初期のギターの即興にはユーモアが溢れ、他の FMP のミュージシャン、例えば Peter Brötzmann や Peter Kwald などのシリアスな感じとは随分違っていた。初期の CD 化されていない Wichlinghauser Blues や Bonobo などは非常に好きだったし、ダクサフォンという楽器の発明には驚いたものだ(内橋氏は日本人唯一のダクサフォン奏者でもある)。と、姜泰煥とは全く違う話になってしまい申し訳ない。
 相手の出方を慎重に見定めて対応しているような感じで、内橋氏のギターがなかなか繊細、アルタード・ステーツとは随分違う。ギターがギターの音を出している、内橋氏、時折エフェクトかけ過ぎで何だか判らないようなこともあるので、本作でもそうなるところはあるのだが。
 本作、内橋氏のレーベル、最高レコード(英語表記だと Psycho Record 、笑えます)からのリリース。

a0248963_208746.jpg 2002年には、ソロ作品2枚がリリースされた。とはいっても、Seven Breath は1998年2月に録音されたもの、朴在千(姜泰煥の韓国トリオのパーカッショニスト)のプロデュースによる作品、57分ほど。作家の田中啓文さんがこのアルバム評の中で『それぐらい……自己完結した音楽だった』と書かれているが、その通り。姜泰煥は共演者が居ようと居まいと自分のスタイルを貫く、従って複数で演奏するよりも、ソロが一番はっきりとした主張を持った音になる訳、ちょっと変な言い方だがそんな感じがする(だからといって、グループでの演奏が詰まらないことはない、特に2000年代の韓国トリオなど良い)。最初のトラックこそ早いフレーズを吹き捲っているが、全体にはゆったりしたアルト・サックスの音色を大事にした演奏。90年代の代表作といってよい。

a0248963_20141537.jpg もう1枚は、2002年5月、静岡の青嶋ホールでライヴ・レコーディングされた I Think So 。30分を超える2曲を収録、67分ほど。
 姜泰煥の日本ツアーは副島輝人(1931年生まれ)という評論家が関わっている。副島という人、様々な分野で評論活動をしているが、自分にとっては前衛ジャズの紹介に力を入れていた人という印象が強い。特に Moers Jazz Fes には相当数の日本のグループを紹介していて、以前に書いたトン・クラミの最初のアルバムは、かの地でのライブ録音であった。この CD のライナーも副島氏だが、文章は若干の難解系(間章や悠雅彦ほどの自己陶酔文章ではないが)、やっぱり精神世界に入りたいようで・・・・姜泰煥も求道者?いえいえ、それはどうでも良いこと、音さえ凄ければノー・プロブレム、女狂いだろうが、借金魔だろうが関係ありません。だけど、音を聴く限りでは、真面目そうな感じではある。
 Evan Parker の紹介でも同じようなことを書いたが、ここまで技術的に完成されてしまうと、後はその時点での記録のようなもので、一つ一つの作品にコメントするのは難しい。1曲30分程度が2000年頃の定番だったようで、一つの典型的な記録ではあろう。

 正月らしくなく今年も始まった本ブログ。昨年の正月も Cecil Taylor から始まっているので、似たようなものといったところ。
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by ay0626 | 2013-01-05 18:58 | free improvisation

日本のマイナー・レーベルでの 姜泰煥 (2)

 昨日、北朝鮮が衛星と称するミサイルの打ち上げに失敗して、日本政府は3年前の轍を踏まぬように気を付け過ぎたら、今回は発表が遅れすぎて、またまた恥をかいてしまった次第。何事も中庸が大切と言ったのは孔子さんだったか、中庸のない国に中庸の元祖が居たとは、またこれも恐れ入ったことだが、日本政府も中庸を心がけるべきかも知れない。もっとも、「首領様」の思想は、どう見たって共産主義や社会主義のものではない、親に孝行、主に奉公の儒教思想そのもののような気がして仕方がないのだが、そういう意味では、北朝鮮の中庸って何なんだろう。

 朝鮮王朝は、中国のいわば属国のような形で歴史を作ってきた、例えば名前も全て中国風に直してしまったし、儒教もそのままの形で受け入れてきた。井沢元彦さんの「逆説の日本史」を読むとここら辺の経緯がよく判って面白い。しかし、考えて見れば、隣に超大国があって、機嫌を損ねれば直ぐにでも捻り潰されてしまうような状況をいつも抱えていた訳だから、恭順の意を表明するためにはそこまでやる必要があったともいえるだろう。そう考えると、日本は海があって良かったなあ、と思うのである、陸続きの200Kmよりも海を隔てた50Kmの方がずっと国防的な意味では有利になる。日本が本当に怯えたのは元寇ときくらいなもので、例えば第二次世界大戦でもお気楽に「本土決戦」などという言葉がいえたのも、こうした背景のあったためだろう。元寇の神風は、後世に「神国思想」を植えつけてしまったのは残念だが、あの時元にやられていたらどうなったことか。豊田有恒の「モンゴルの残光」みたいになってしまっていたのだろうか。
 元寇の時もそうだが、朝鮮民族は先兵として戦場に駆出された。同じように朝鮮戦争の時もアメリカやソ連の先兵となって同じ民族同士で戦い、その後遺症としての民族分断は未だに続いている。
 朝鮮戦争前から韓国では、キリスト教はそれなりの勢力を保ってはいたようだが、戦後は北朝鮮からの信者の流入などと同時に朝鮮戦争のアメリカの影響が大きく、韓国民の約30%はキリスト教徒という、日本では殆ど根付かなかったキリスト教がこれだけ勢力を保っているのは何故なのだろう、李承晩や金大中、金泳三などもキリスト教徒なのだ、我が姜泰煥もキリスト教徒で洗礼名は(確か)ヨハネといった。韓国のキリスト教はシャーマニズムとの繋がりも指摘されているようで(勿論プロテスタントに限ってだが)、そう言えば、先回紹介した「鬼神(トケビ)」は、シャーマニズムそのもの(憑依と脱魂という意味で)といえる。
 韓国ではプロテスタントが多いようだが、アメリカの影響が強いことからこれは判る。アメリカが、モルモン教などの超個性的な(それでも信じる人はいる!)キリスト教を生み出したように、韓国も統一教会のような(それでも信じる人はいる!!!)なんだか判らないものを生み出したのであった。

 ということで、前回の続き、今回の対象は93年から95年。

a0248963_221921100.jpg 先ずは、Sainkho Namchylak とのデュオ作、1993年島根県松江市でのライヴ録音。Free Improvisation Network Record という日本のレーベルからのリリースだが、このレーベルこれ1枚しか出していないらしい。
 Sainkho Namchylak は、トゥヴァ共和国の出身、6オクターヴの音域を持つと言われるヴォーカリスト。まるでシャーマンそのもの、魔女と言っていい容貌で、アルバム・ジャケットも Naked Spirit などお婆さんの様であるし、Who Stole the Sky ではスキンヘッドで目を剥いている。ヴォーカル・スタイルも呻くは、叫ぶは、つぶやくは、何でもありの凄まじさ。トゥヴァは、もともと中央アジアのど真ん中、モンゴルのシャーマニズムの影響をたっぷり受けた国のため、こういう一風変わったインプロヴァイザーが出てくるのかも知れない。ちなみに彼女は、Evan Parker とは、Mars Song で、Ned Rothenberg とは Amuletで共演 (両作とも96年)、循環奏法・倍音奏法3人男とは、いずれもデュオ・アルバムを物している。
 とういことで、同じ東洋人同士、息もぴったりのインプロヴィゼーションを聴かせる。ソロもフューチャーされているが、姜の Hakutobo (白頭山のことか?白頭山は朝鮮の聖地で、檀君朝鮮が興った地でもあり、北朝鮮では金正日が生まれた地ということになっている)は、ゆったりした演奏の中にも音に味わい深い雑味があり、絶品。

a0248963_22202262.jpg 次が94年、8月と9月録音の Kang Tae Hwan (名前がタイトル)、防府市と岡山市でのライヴ。大友良英(ターンテーブル)と Ned Rothenberg が共演。ちゃっぷちゃっぷレコードというレーベルからのリリース、このレーベル他にも作品はあるようだ。この録音の直後、トン・クラミの2枚目(後述)を録音しているが、そのときも Ned Rothenberg が共演している。
 Ned もメインの楽器がアルト・サックスで循環奏法・倍音奏法の使い手ゆえ、比較されることも多いが、Ned の方がスピード早め、音は比較的澄んだ感じ、音の線は細め、それに比べ、姜の方はゆったりと、野太く、音にも雑味(濁り、みたいなものだが、それが旨味に繋がっていくような)が多いような気がする、聴いてみれば直ぐ判るが。
 大友良英との共演は面白い、この後、エレクトロニクス系の内橋和久や河端一などとも共演していくわけだが、その走りといったところか。あまり違和感がない。Evan Parker も90年代半ばからエレクトロニクス系のミュージシャンと活発に活動をしているが、何か関連性でもあるのか知らん。

a0248963_22194177.jpg トン・クラミの2枚目、パラムゴ(Paramggod)、94年9月録音。Ned Rothenberg がゲストとして加わる。
 1曲目は佐藤允彦の作品、なかなか親しみやすい感じの曲、2曲目は高田みどりの作品、現代音楽そのものと言った感じで、完全に作曲された作品。こうして聴くと、インプロヴァイザーとはまた違った面を見せて良いものがある。同じく6曲目も佐藤の現代音楽的な作曲作品でトン・クラミ3者の演奏。あとは、様々な組み合わせの即興で、3曲目は佐藤~高田~Rothenberg、4曲目は 姜~Rothenberg、5曲目は4者の、7曲目はトン・クラミ3名での演奏。相変わらず、高田みどりのパーカッションが冴えている。佐藤のピアノは前作ほどの違和感はないが、姜との相性がよいかと言えば違うように思う。ピアノで言えば、2000年代の韓国トリオの Miyeon の方が断然良い。

a0248963_22214622.jpg 95年10月録音の Asian Spirits 、佐藤允彦と富樫雅彦との共演盤、新宿 Pit Inn でのライヴ。AD.forte というレーベルからのリリース、多分韓国盤。1曲目が姜のソロ、2曲目が佐藤と姜のデュオ、3曲目が3者の演奏となっている。やはり、富樫が入るとジャズ的な雰囲気になる(高田みどりはあくまでパーカッショニストであってドラマーではない、富樫は足のことがあってパーカッショニストといわれるが、音はあくまでフリー・ジャズのドラマー)。切り込みの鋭い富樫のパーカッションが聴きどころになる。スネア中心の富樫のドラムが、高音をたゆたう姜を地上に留めるような演奏、ゆったりしたアルトに点描的な佐藤のピアノと富樫のメタル・パーカッションが控えめに音を添えるような演奏など局面により様々な表情が浮かぶ。

 ということで第2回目終了、まだまだ続きます。
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by ay0626 | 2012-04-14 19:43 | free improvisation

2回も見たぞ、韓国のアルト・サックス怪人、姜泰煥

 韓国と言えば、今を時めくK-ポップ・スターが目白押しだが、おじさんにとっての韓国唯一無二のスターといえば、姜泰煥(カン・テー・ファン)、この人以外にはいない。アルト・サックスの Evan Parker といったところが一般的な印象ではないかと思うが、本人曰く、Evan には影響を受けていない、もともと知らなかったとのこと。東西何処でもテクニックを極めてしまう人というのは居るものなのだ。

 強国の隣にある国というのは、昔から歴史に翻弄されるという運命にあるようで、韓国は正にそんな歴史を持っている。ヨーロッパで言えば、ロシアとスエーデンに挟まれたフィンランドしかり、ドイツとロシアに分割されたポーランドしかり、イギリスに収奪され国が滅びかけたアイルランドしかりである。韓国も中国と日本に挟まれ、大中国の先兵にされたり(元寇の時など)、日本に攻められたり(豊臣秀吉は今でも相当嫌われていたりする。伊藤博文も同様)、散々な目に遭った。戦後は、アメリカと中国・ソ連の面子を懸けた戦争の舞台となり、国の分裂・対立を今でも背負っている。そんな状況の中でも、あれだけの経済復興を遂げ、K-ポップまで国を挙げて売り出してしまう根性には敬意を表したい、しかし国内の都合が悪くなると、すぐ日本を槍玉に挙げて、国民の目を逸らせようとするのは如何かとは思うが。
 そんな前向きな国にフリー・インプロヴィゼーションなどというあまり建設的でもない音楽をやっていてもいいのか知らん・・・と思ってしまうが、それでも姜泰煥の音楽はあまりに異色だ。

 Evan Parker は随分若いうちから聴いていて、そのショックは相当なものであった。特にソプラノ・サックスという高音域の楽器からマシンガンのように、怒涛の急流のように繰り出される音は、忘れがたいものがある。それに比べ、姜泰煥はアルト・サックスと言う中音域の楽器でロング・トーン中心のインプロのため、たゆたうような大河の流れを思い浮かべる、例えば91年の『鬼神』の「空へ」の出だしなど、その通りの印象だ。記憶に残る強烈さでいえば、やはり Evan には一歩も二歩も譲ると言ったところか。聴く順序が違っていれば(姜泰煥を先に聴いていれば)、もう少し印象が違ったかも知れない。ということで、Evan Parker ほどは聴き込むことがなかった。
 2番手の「悲劇」というか、もうちょっとフリー・インプロヴィゼーションの流通が良くて、聴衆に理解のある国に生まれれば、もっと沢山の録音も出来たろうに、などと思ってしまう。ちなみに Evan Parker も姜泰煥も1944年の生まれであることを考えれば、同程度のテクニックを持ちながら、録音量に圧倒的な差(姜泰煥の録音は、1988年から10枚程度、Evan は1960年代から数え切れないほどの録音を残している)があるのは、環境の違いと言ってしまえばそれまでだが、ちょっとそれだけでは割り切れない気がする。

 姜泰煥の録音は、韓国盤だったり日本の超マイナー・レーベル盤だったりと非常に手に入り難いCDが多い。と言うことで、持っている盤は全部、数回に分けて(無駄話と一緒に)紹介していきたいと思う。

a0248963_14264313.jpg 最初のアルバムが、Korean Free Jazz (Live Improvisation) 、1988年。4つのフォーマットが収録されているが、いずれもライヴで、そのうち3つは東京での録音。Incus の最初のアルバム The Topography of the Lungs に遅れること18年、Evan の最初のソロ Saxophone Solos に遅れること13年、韓国初のフリー・インプロヴィゼーション・アルバムが完成したのである。
 最初のトラック Seoul Free Music Trio は、トランペットとドラムとのトリオ。金大煥のドラムは殆どシンバルを叩かず、低めのドコドコ・スネアが中心で、なかなか禍々しい感じをかもし出しており、良い。2つ目は、高田みどりとのデュオ、マリンバの音色がアルトにマッチしており、柔らかな感じ、後述のトン・クラミに繋がる演奏。3つ目は大御所 Evan Parker とのデュオ、臆せず堂々と張り合っている。そして4つ目がソロ、ロング・トーンを多用した、雄大な演奏。盤元は Ponnycanyon Korea 。もしかしてメジャー・レーベル?

a0248963_1427124.jpg 2枚目は、91年録音の 鬼神〈Tokebi〉。日本のビクターからの発売。もともと民族音楽シリーズの中の一枚として発表されたもの。ソロ「空へ」(28分)と民族楽器との合奏「永遠」(18分)の2曲が収録されている。ソロ「空へ」は悠久の大河の流れのように堂々とした音量豊かなトラックで、姜泰煥の名を世に知らしめた名演(一部の物好きな者たちの「世」かも知れないが)。「永遠」は胡笛というダブル・リード(チャルメラのような響き)とのデュオから始まり、杖鼓という打楽器とのデュオで終わる、民族音楽シリーズの一枚として出されたので、当然といえば当然なのだが、やはり東洋人の演奏のためか、いかにも自然な感じである。
 
a0248963_14273341.jpg 3枚目は、同じ91年録音で、高田みどり・佐藤允彦とのトリオ、トン・クラミのメールス・ジャズ・フェスティバルでのライヴ盤。これは、日本クラウンからの発売。佐藤允彦のピアノがモダン過ぎて、ちょっとどうかな・・・と思うところあり。このトリオではもう1枚、スタジオ録音を残している。メールス・フェスはフリー・ジャズ・ファンにはお馴染みで、様々なミュージシャンがかの地でのライヴを録音として残している。

 今回は、この3枚を紹介、もう少しお付き合いを。
 題名にもある通り、姜泰煥のライヴは2回見ている。一回目は、2001年か2年、一楽儀光と内橋和久(河端一だったかも)とのトリオで、二回目はその数年後、現代音楽の高橋悠治とのデュオで。何れの時も舞台に座布団を敷き、胡坐をかいて、おもむろにロング・トーンでの演奏が始まったと思ったら、突然の大音声に変化、何処から発せられるのか、驚いたものだ。
 もう70歳近いと言うのに、昨年2枚組のソロ作を出した姜泰煥、まだまだ目を離すことは出来ない。
 
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by ay0626 | 2012-02-25 11:04 | free improvisation