日常茶飯事とCDコレクション
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その後のヘンリー・カウ アート・ベアーズからブレヒトへ ダグマー・クラウゼ

 秋も深まって、日中なら半袖でもいられるが、釣瓶落としに陽が落ちると途端に寒さを感じるようになる。注文しておいた本がやっと届いたので、これから1~2週間は寝る前1時間程度は読書に時間を費やすことになる。西澤保彦さんと小島正樹さんの新刊と小林泰三さんの文庫本、楽しみ。

 能動的にコンピュータに向かうのはブログを書くときか、買い物をするときくらいのもの、年を取ったせいか、エロ・サイトなぞ殆ど覗く機会もなくなったので、ウイルスを貰ってくるようなこともないだろうとは思っている。しかし、「遠隔操作ウイルス」などという変てこなものが出てくると落ち着かない気分にはなる。銀行口座情報などは登録していないが、買い物にはクレジット・カードを使っているし、情報が漏れては大変だ。自分の名を騙って、悪いことをされるのももっと困る、警察の杜撰なこと、罪がない人を犯罪者に仕立て上げてしまう、つまり冤罪事件を引き起こすような捜査をやっていることを今回の事件が白日に晒してしまったから。今回の事件、マスコミの警察追求が今一歩の印象を受けるが、もっと検証すべきではなかったか。もっとも、iPS細胞の件で赤っ恥をかいた記者が、疑惑が持ち上がった後に会見を開いた森口某に嘘を認めさせようと、まったくの「上から目線」で偉そうに質問する姿を見ていると、マスコミにも自分たちは偉いのだ、という権威主義みたいなものを感じてしまう、権威主義は警察もマスコミも同じ穴の狢ということか。せいぜい自分はどちらのお世話にもならぬよう自衛しましょう。

 前回、Fred Frith のことを書いたとき、「残るは Chris Cutler 御大のみ」などといってしまったような気がするが、Dagmar Krause のことをコロッと忘れておりました。ということで今回は Dagmar Krause の巻、Art Bears は Frith の項か Cutler の項に入れるか迷った末、Dagmar 姐さんのところに入れることにした、あの声がなければあのサウンドはあり得ないので。

 Henry Cow の内部対立が目立ち出したのは、ヴァージンが彼らとの契約を打ち切ったあと、77年頃から。78年の1月には、新しいアルバムのために録音を開始するが、アルバムの傾向が今までとは全く違う、ということで内部抗争が激化(といってもやはり音楽家なので、血で血を洗うようなことにはなりません、ハイ)し、遂に完成したアルバムは、Frith 、Cutler が権利を買い取り、Art Bears の第一作として発表されることとなる。78年は、レコーディングも多く、順を追って見ていくことにする。

a0248963_17433680.jpg 1978年1月、Henry Cow は、スイスのキルヒベルクのサンライズ・スタジオでレコーディングを開始する。今回のアルバムは Dagmar Krause の歌を中心とした小品で構成されることになるが、今までの作品とコンセプトが違いすぎるとTim Hodgkinson や Lindsay Cooper から意見が出て、作品の殆どを作った Frith ~ Cutler が権利を買い取ることで決着、アルバムは3月のロンドン・カレイドフォン・スタジオの録音で完成し、5月、Art Bears のファースト・アルバム Hopes and Fears として、Recommended Record から発売される。
 このアルバムは、やはり Dagmar の声を活かすように作られている。Dagmar の声は個性的で、ドイツ人であるためか、英語の単語が非常にはっきりと耳に入ってくる、言葉を伝えるのに最上の声と言えるのではないか。
 確かに全体の雰囲気は Henry Cow のアルバムとは言い難い作品で、Tim や Lindsay の言い分は判るような気はするが、所詮は左翼の主義者によく見られるような、ちょっとした違いを大きく言い立てるような感じがない訳ではない。Cutler の詩は、Tim の In the Heart of the Beast ( In Plaise of Learning に収録の大曲)ほど直線的に表現していないだけで、同じようなもんだと思ってしまう、やはり自分がノンポリだからか。
 サウンド的には、Georgie Born が加入し、室内楽的な感じが強くなっている。Frith のソロにも収録された Terrain などはチェンバー・ロックの典型的な演奏とも思う。Cow の Western Culture に収録される Lindsay 作品 Half the Sky もこの1月録音のもの。Western Culture は、同じ年、同じスタジオで7~8月に録音されているが、Half the Sky だけが質感が異なっている。
 CD化(1992年)の際には、3曲を追加収録。All Hail ! と Collaps は1980年冬の録音、前者は82年にレコメン・サンプラーに、後者はセカンドからのシングル・カット Rats And Monkeys のB面として発売されたもの。最後の1曲 Coda to Man and Boy は、80年のヨーロッパ・ツアーのライヴ録音で、セカンド Winter Songs の予約者に配られたもの。

a0248963_17435820.jpg セカンド Winter Songs は1978年11月と12月にスイス・サンライズ・スタジオで録音されたもの。フランスのアミエンス大聖堂の西正面の彫刻を素材とした Cutler の詩に Frith が曲を付けた。
 非常にタイトな印象を受けるアルバム、Dagmar の声と詩を活かすためにサウンドはかなり音数を少なめに、全くシリアスでユーモアを感じさせるようなところもない。Dagmar の声は千変万化、Cutler の短く象徴的な詩(何がいいたいのか判然としないまでに抽象化されているものもある)を的確に歌い上げてゆく。
 この頃は、パンクの隆盛から下降の時期、また共産主義も力を失い特に新左翼は全く権威失墜の状態、その中で彼らは何をしようとしていたのか。レコメン、ロック・イン・オポジションの中では非常に象徴的な作品である。

a0248963_1744187.jpg サード The World As It Is Today、1980年の8~9月に同じくサンライズ・スタジオで録音された本作は81年に Recommended Recoed からリリースされた。最初のレコードは30センチ盤ではあるが、45回転という変則的な形式で発売された( Recommended のアルバムでは、例えば News from Babel の Letters Home もこの形式であった)。
 のっけから The Song of Investment Capital Overseas ときた、海外投資資本の歌!!!全く主義主張を変えない Cutler さんは偉い、という他ない。こんな詩「町の外 / 仕事が町の外に連れて行く / 村は空っぽ / 家々を燃やし尽くし / 工場を立ち上げていく / プランテーションを広げ /富をもっと貧しい国民に届けよ / 道を線路を地割れのように走らせよ / そしてわたしを彼らの背に乗せて運ばせよ」。
 傑作といえば傑作、ひとつの行き着く先。ひとつの時代の終わり、肩の荷を降ろして、新しい道を進む、そんな感じの Art Bears の最終作。

a0248963_17444168.jpg その後、Dagmar は1986年 Supply and Demand: Songs by Brecht / Weill & Eisler というソロ作を発表する。堂々とした歌いっぷり、もともと英語版とドイツ語版の2つがあったようだが、再発の際、英語版に10曲ドイツ語版から加えられた。
 もともとブレヒト/クルト・ヴァイル、ハンス・アイスラー曲集だからクラッシクぽくはあっても、ポピュラーに近いから、そんなところが Dagmar にぴったりといったところなのだろう。のびのびと楽しそうな感じが気持ちよい。
 クルト・ヴァイルは、ドイツの作曲家、クラッシク作品と同様にオペレッタ作品に力を入れ、劇作家ベルトルト・ブレヒトとの「三文オペラ」は非常に有名、悪人の出てくる変な作品、一度何かで見たことがあるような気がするが、よく憶えていない。

a0248963_1744573.jpg 88年には Tank Battles: The Songs of Hanns Eisler というアルバムもリリース。今回は完全にアイスラーの作品集。アイスラーはドイツの作曲家で、ヴァイルと同様ブレヒトとの共同作業で有名だが、元はといえば新ウィーン楽派の一方の雄、シェーンベルクの高弟の一人、東ドイツの国歌の作曲者でもあった人物。
 歌いっぷりは前作と同様だが、前作に比べると若干クラッシクぽいか。ミュージシャンの中には、Alexander Bălănescu や Lindsay Cooper などの名前が見える。これも英語版とドイツ語版があるが、再発盤は英語版に数曲ドイツ語版の曲を加えている。

 Dagmar は、様々なプロジェクトに加わっているため、なかなか全貌が掴めない感じだが、彼女の声はよく判る、ヴォーカル担当はいいですな、一聴その人の声と判る、器楽奏者だと余程特徴がないとやはり難しいでしょう。
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by ay0626 | 2012-10-21 15:30 | rock