日常茶飯事とCDコレクション
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あれからどうなったのか スリーピー・ゴリラ・ミュージアム (2)

 あっという間に大晦日、1年過ぎるのは早いものだ。
 楽しいことがあったかと問われればそうでもなかった、悪い年でもなかった、そう忙しくもなかったし、暇で死にそうということもなかった。普通の年、まぁそんな年が一番多いのだろう、(去年みたいに)大きな不幸がなくて良かったね、そんな感じ。
 会社の最終日は久しぶりに遅くまで飲んで、ゆっくり飲んだせいか、それともよく喋ったせいか、気分は良かった。なかなかあんな日はない、心から楽しい日もたまにはあってよい、あって欲しい。

 1年の最後に Sleepytime Gorilla Museum 。解散してからもう2年近く経とうというのに、お約束の新作アルバムもアーカイヴ DVD も一向にリリースされない。Nyls 君と Dan 君は新たなグループを結成したというし、もう新作の件はアカンかも。ホーム・ページには『 Where are we? 』と一言掲示されるだけだし。

a0248963_14351949.jpg スタジオ録音の2枚目、Of Natural History、2003年~04年の録音。Carla Kihlstedt (vln, perc, autoharp, organ, vo)、Dan Rathbun (b, log, tbn, lute, vo)、Frank Grau (ds, melodica)、Matthias Bossi (tracks 3, 5, & 6 - ds, glockenspiel, xylophone, vo)、Moe! Staiano (metal, wood, perc)、Nils Frykdahl (g, fl, vo)。ちょうどドラムの交替( Grau → Bossi )時期が重なっている。
 コーラスを多用したサウンドは前作を引き継ぐものだが、もっとヘヴィーな感じがする。曲と曲の間をサンプル音(動物の鳴き声、人の喋り、人工音など)で埋めるように、またナレーションが入ることによって(何を喋っているかは判らないが)、全体が切れ目なく一つのに纏まっている感じ、コンセプト・アルバムかとも思うが、どんなコンセプトかは判らない。様々な打楽器と訳の判らない楽器の音が面白く、変拍子は相変わらずで、一層磨きが掛っている。
 曲1つずつ見れば、堂々とした Nls の独唱に始まり皆のコーラスも決まった1曲目から、現代音楽に近い感じの4曲目、7曲目、Dan のヴォーカルが独特な8曲目、大曲10曲目を経て、カントリー(オート・ハープとハーモニカ(?)の音のため)風の Nyls 歌唱の小曲11などヴァラエティーに富んでいる(隠しトラックの12は蛇足)。Carla Kihlstedt の活躍の場(ヴァイオリンが良く聴こえる、ヴォーカルも良く6曲目など最高)が前作よりも多い。

a0248963_14355444.jpg 多分最終作になるであろうスタジオ録音の3作目、In Glorious Times、2007年作品。ジャケットのデザイン、歌詞カードの表紙の5人のメンバーの写真からも判るとおり黙示録的な印象のある作品、2曲目の Helpless Corpses Enactment の歌詞はジェイムズ・ジョイスのフィネガンス・ウェイクから採られたもの。メンバーは、Frank Grau と Moe! Staiano が Matthias Bossi (ds) と Micheal Iago Mellender (g, tp, etc) に交替している。Matthias Bossi、 Micheal Iago Mellender とも曲を提供しており、5人のメンバー全員が作曲を行っているという珍しいグループ。
 緊張感が持続し、だれる部分のない非常に充実したアルバム、完成度の点で言えば、そうそうこれ以上の作品が出来るとも思えない。暗黒レコメン・メタルの極みといって良い。
 曲も1曲目から印象に残るメロディーが多く、特に3曲目の Puppet Show (Matthias Bossi の曲)の外れたような邪悪な感じや、4曲目の Formicary (Dan Rathbun の曲)の男女ヴォーカルの掛け合いから変幻自在の曲調、などなど聴き所も多い。また10曲目の The Widening Eye (Micheal Iago Mellender の曲)は、明らかに King Crimson の Larks' Tongues in Aspic Part 2 のフレーズが出てきて、彼らが何を目指したのか良く判る。

 終わり良ければ全て良し。今日はのんびりとした良い日で終われますように。今年、このブログの1ページでも読んでくれた人に、ありがとう。
 
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by ay0626 | 2012-12-31 11:31 | rock

西海岸の超絶白塗りパフォーマンス楽隊 スリーピータイム・ゴリラ・ミュージアム

 今朝新聞の一面に丸谷才一氏の死亡記事が載っていた。丸谷氏の小説は殆ど読んでいる、昨年も最新長編『持ち重りする薔薇の花』を上梓したばかりだったのでびっくりした。新潮の10月号に一挙掲載との新聞広告が載り、急いで買いにいった、その直後体調を崩してしまい読むきっかけをなくしたせいか、今でも積ん読状態のまんまになっている。死亡記事が出たんだから、それを機会に読まなけりゃ、なんて不謹慎なことを思っている。
 丸谷氏の著書で一番初めに読んだのはなんだったか、『たった一人の反乱』のような気がするが、『横しぐれ』だったかも知れない。高校に入った頃、一時自由律俳句に興味を持って、種田山頭火や尾崎放哉などを調べたりした時期があった。それで『横しぐれ』を読んだのではないかとも思うが、記憶の彼方に埋没している、もう40年近く昔の話だ。その後順調に作品を読み進め、『にぎやかな街で』などなかなか文庫にならず、読むのが遅れた作品もあったが、殆どの作品を高校の頃には読み終えていた。
 『裏声で歌え君が代』以降は社会人になった後ではあったが、本が出ると直ぐに購入し一日二日で読み終えていた。『樹影譚』は文庫化されてから読んだような気がする。
 どの著書も本棚の奥のほうに隠れているので、これを書くためにわざわざ探索する気もない、従って記憶だけで記すので間違いもあろうと思うが容赦頂きたい。最も好きだったのが『笹しぐれ』、徴兵忌避者の逃避行と現在の境遇を過去と現在とを自由に行き来する構成で描き出したもの。何か希望のなさ、閉塞感みたいなものと、それでも年上の女性を連れての旅が奇妙に明るく、その薄ぼんやりとした感じと現在の若い奥さんとの微妙なもやもやが重なり、絶妙な感覚がそこにはあった。徴兵忌避者は戦後賞賛の対象となったかと思うとさにあらず、その事実は隠さなければならないものだったことをこの小説で知った、一億総反省するなら忌避者のことを認めてやればよい、純真だった頃の自分はそんなことを考えていた、今となっては主人公の行動や世間の目も判らないことじゃなくなくなっている。
 論理性というか理知的というか、私小説にはないカラッとした感じが好きではあったが、一方反発する部分もなかった訳ではない。東大を出て、大学講師をしながら小説や評論を書いた、やはり上流階級の人だったのだろう、『たった一人の反乱』は中年の会社役員が主人公、女中(敢えて書いています)が辞める辞めないでドタバタが始まるし、『女ざかり』は新聞社の権力抗争、『輝く日の宮』は中堅会社の役員と女性大学教員(教授だかどうかは記憶にない)との恋愛模様、と一般人と違いすぎる人たちを描いていてリアリティーという意味ではどうかな、という感じもする。ある意味お洒落過ぎて、食べるものにしても趣味にしても、そして恋愛感情にしても、スノッブな感じが否めないのだ。だからといって、私小説は全く嫌で、そっちに行くことは絶対にない。そして、丸谷氏が「一つの事件」と評した村上春樹は、もっとスノッブ感が強く全然読む気はない。やはり、ミステリくらいですかね、自分と本当に合うのは。

 ということで、今回は Sleepytime Gorilla Museum (以下 SGM)、2000年代のロックでは最も好きな楽隊。1999年にバンドは誕生、その前身の Idiot Flesh から Nyls Frykdahl 、Dan Ruthbun 、Dave Shamrock が参加、とはいってもその Idiot Flesh というバンドの音は聴いたことがない。SGM を聴くようになって Tin Hat や Faun Fables を知ったのである。

a0248963_15432869.jpg 1st アルバムは2001年の Grand Opening and Closing 。2006年に3作品を追加して再発された。
 誰かが書いていたが、正しく Art Bears Meets Metal King Crimson 、複雑な曲構成と変拍子にオリジナル楽器とメタル・パーカッションの音の洪水、Nyls のデス声に掠れた倦怠感のある Carla のヴォーカル、これを基本に現代音楽とも思えるような作品を取り混ぜて、再発盤77分を一気に聴かせる凄まじい演奏。興奮を抑え切れません!!!
 この作品のメンバーは、Nyls Frykdahl (6st & 12st g, etc)、Dan Ruthbun (b, original instruments, etc)、Carla Kihlstedt (el-vln, perc-g, etc)、Moe! Staiano (Perc, original instruments, etc)、David Shamrock (ds, p)。ドラムは1曲のみ Frank Grau に変わる。2006年追加収録作品は、In Grorious Time で詳述予定。
 Nyls が Faun Fables メンバー、Carla が Tin Hat のメンバーであることはこれまでにも述べたので割愛。Dave Shamrock は、A History of Madness 録音時の Thinking Plague のドラマーであったことを付け加えておく。何れも大した才能で、SGM とは何かという与太話( John Kane という未来主義者でダダイストが秘密結社として作った云々、1974年版のギネス・ブックにも記載あり・・・・というような)や白塗りで暗黒舞踏に影響された舞台(事実、Dun は舞踏との関係が深い)、自分たちがオリジナルで作り上げた見た目にも面白い楽器群など、その独自性は他のバンドを圧倒している。このアルバムの中に掲載されている写真も余りに胡散臭く格好良過ぎる(黒の正装に身を固めたメンバーが彫像のように佇む)、音楽以外にも見所満載(だから早く DVD 出してよ!とまたいっておく)。
 楽曲でも、スタートの Sleep is Wrong からテンションがマックス・レヴェル、The Miniature という現代音楽風の極短い曲を経て Powerless ~ The Stain ~ Sleepytime と大作が続き、Dave の金属打楽器による現代音楽風の Sunflower で終わる(オリジナル盤)構成はなんとも言えぬ緊張と弛緩の体験。
 今だとほんに1,000円程度で購入出来ます、そのうちなくなっちゃうと思うのでちょっとでも興味があったら即購入をお勧めします!!!(力が入っちゃいました、ハイ)

a0248963_15435682.jpg 2枚目が Live 、2003年の作品。音も悪いが構成も悪い、1st の緊張感の半分くらいしかない、多分しゃべりの部分が入り過ぎていることが緊張感を削ぐ原因。このアルバム、直ぐに品切れになったのも頷ける出来。時々は根性の入った演奏が聴かれ、彼らのライヴでの演奏力の高さは判る。メンバーは1st と同じ(ドラムは Frank Grau )。

 SGM が解散して早1年半、新アルバムや集大成 DVD が完成したとの知らせが来ないのは残念。ファンは首を長くして待っている。10年以上に及ぶバンド歴に比べ、残された音源は余りに少な過ぎる、せめて約束を守って早くラスト・アルバム/ DVD をリリースして貰いたいものだ。
 
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by ay0626 | 2012-10-14 14:17 | rock

カリフォルニアの荒涼とした心象風景 フォーン・フェイブルズ

 大津市の中学生自殺事件が、発生から10か月経った今大騒ぎになっている。報道を見れば酷い話で、よくもその当時に騒ぎにならなかったものだと思う。子供は残酷なもので、やはり苛めは楽しいのだ。そうでなければ、死に至るまで苛め続けるなんて出来ようもない。事実、加害者は死を知って笑っていたというではないか。どのように加害者が思っていたか知ることは出来ないが、苛めていたときには脳内麻薬が出捲くっていたものと思う、その快感を知ってしまった者は、たぶん表面では反省したように見えても、心の奥底には黒い塊を育てていくことになるだろう、まともな人間になれはしない。
 日本の軍隊でもそうだったが、苛めの体質というのは日本人には根底に持っているのかも知れない。しかし、弱い抵抗できない者に対し徹底的に暴力をふるい収奪し続けることは、世界史を見れば例えば南米征服史でも北米の奴隷史の中でも、また現代においてもインドのカーストの中では日常茶飯にみられることなのである。一旦、そうした関係性が出来てしまうとなかなか被害者加害者とも自分の力では抜け出すことは難しくなる、そしてエスカレートしていく。
 先生や教育委員会も非難されることは多いが、彼らだけに責任を押し付けてはいないか。彼らも職業として教師をやっているに過ぎず、この問題の多い世の中に正義の御旗だけで立ち向かっていけないのは重々知っている、自らの保身を考えるのは至極当然であって、夜の夜中まで生徒に向き合うことは無理なのだ。その上体罰も禁じられ、後ろ手に縛られて泳げ!といわれるようなもの。何か起これば、親たちは自分の責任を棚上げして教師を非難する、自分の子供が被害者じゃない者が先頭を切って・・・だ。それは、まともでない教師もいることはいる、しかし大多数の教師はそうしたジレンマの中で悩んでいると思う。
 警察の対応にも疑問はあるが、公的な(敢えて言うが)暴力装置である警察が、逮捕や補導という加害者の自由を奪う手段に出なければ問題は解決しない、学校に混乱を齎すことと人死にが出ることとどちらが問題か、自ずと答えは明らかであろう。
 らしくないことを書いてしまったが、こういう事件をみてしまうと人間の残酷性について考えてしまう。加害者の人権を考えるのは重要かもしれないが、人を死に追い込んでおいて受ける罰が少なければ、世の中を舐めてしまう。そこだけは外して欲しくないものだ。

 今回は暗い気分になれる Faun Fables 。カリフォルニア、オークランドのシンガーソングライター Dawn McCarthy とギター・フルートの Nils Frykdahl のデュオ、とういか彼らを中心としたユニットというべきか。Nils Frykdahl はいわずと知れた Sleepytime Gorilla Museum のギター/ヴォーカル。彼の名前を見て Faun Fables を聴き始めたのである。

a0248963_14321864.jpg 最初のアルバムが Early Songs 、1999年作品だが初出は CD ROM でのリリース、2004年になって Drag City (シカゴの独立レーベル、所属ミュージシャンで有名なのは Jim O'Rourke)から再発された。
 非常に太い硬い声で、奇妙なメロディーを歌う。実験的といえば実験的で、Drag City のレーベル・カラーには合っている。先日紹介した Espers と同様 New Weird America ともいわれるサイケ・フォークとして認識されているようだ。「新しい奇妙なアメリカ」とは言い得て妙である。
 本作、殆どが Hans Wendl のプロデュース、Mark Orton の録音によるもの。この2人、Tin Hat のプロデューサーとギタリストである。1曲のみ Dan Rathbun のプロデュース/録音、この人も Sleepytime Gorilla Museum のメンバー。こうして見ると、カリフォルニア・サンフランシスコ周辺のアヴァン・ロック界も狭いもの。
 このアルバムは、殆どが Dawn のギターと歌で構成され、数曲 Nils Frykdahl、Samantha Black (cello)、Rob Burger (organ、彼も Tin Hat の元メンバー)、Mark Orton (g)、David Cooper (vib) がゲストとして参加している。
 ジャケットも Dawn によるものだが、その暗さ、奇妙さは印象深い。アルバムの雰囲気をよく表している。

a0248963_14323667.jpg 2枚目が Mother Twilight 、2001年自主盤でリリース、2004年 Drag City から再発。このアルバムから、Nyls が全面参加(4曲は彼の作曲、7曲目ではヴォーカルも)。Dawn と Nyls が並んで演奏しているのを見たら、その奇妙さ、気持ち悪さは印象に残るだろうなぁ、と思える出来。SE も多用され、奇妙な感覚を盛り上げる。また12曲目など、カセットで録音したチープな音で、ある意味やりたい放題。
 特に裏ジャケットの Dawn の写真の不気味さ、どういう感じの人なんだろう、ちょっとだけならお話したくもあり、したくもなし。

a0248963_14325432.jpg 3枚目、Family Album 、2004年作品。印象に残るメロディーも多い本アルバム、Drag City での初録音である。1曲目の Eyes of a Bird 、子供の声の SE から始まり、狂気のコーラスで終わる7分半からお腹いっぱいに。アレンジ面でもアヴァンギャルド度合いが高まり、Sleepytime Gorilla Museum とは異なるが、流石サンフランシスコ・オークランドで長年音楽活動を続けて来ることが出来ただけの魅力を見せてくれる。傑作といっていい。ゲストも多数参加しているが、2曲目のグロッケンシュピール、3曲目のヴァイブラフォン、5曲目のチェロなどが印象的。
 裏ジャケットは、若干可愛らしい写真が飾られている。

 暗いのは、音楽だけにして。
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by ay0626 | 2012-07-15 13:23 | folk

アヴァン・ギャルドなのにアメリカ的郷愁、ティン・ハット

 人事の仕事をしていて、2月、3月は、人事異動の調整だとか、人事考課の確定だとか、やたら面倒な仕事が多くて、しかしこれも給料のうちと日々それなりの努力をしている。もともと、前にも書いたように「理に適う」人事がしたいと思ってはいるのだが、人事については十人十色、情に流される人も圧倒的に多いは、自分の部署しか考えず「全社のことを考えて」といっても「それを抜かれちゃ仕事が出来ん」など、好きなことをのたまう人もいるはで、温厚なおじさんも偶にはドスを効かせて「それでは、あなたの部署には協力できませんよ」などと強面の表情を作ることだってあるのだ。4月になれば、新入社員が入ってきて、入社式、教育などでばたばたするし、来年度の採用面接が連日のごとく入ってきて、春は忙しい。
 こんな時期は、激しいフリー・ミュージック系やラディカル・トラッド系は敬遠して、表面的には優しいブルーズやブルーグラスを取り入れた少人数の室内楽が心の安らぎに繋がるかと思って、Tin Hat を取り上げることにした。それは、郷愁に満ちたメロディーを奏でることもあるが、良く聴いてみるとアヴァン・ギャルドな面もままあり、直接的に「心の平安」をもたらすような音楽ではないことが判った(前聞いてから相当時間が経っていたので・・・と言い訳)。

 このバンド、Sleepytime Gollira Museum 関連で聴き始めた。Tin Hat の創立メンバー、Mark Orton、Rob burger、Carla Kihlstedt のうち、Carla が Sleepytime のメンバーだったためで、これも Rotter's Paper さんのホーム・ページで知った。Rotter's さんのページではいろいろ教えて頂いて、当方の守備範囲も相当広がった、ただ感謝。
 Mark Orton のギター・バンジョー・マンドリン、Rob Burger のアコーディオン・オルガン・ピアノ、Carla Kihlstedt のヴァイオリン・ヴィオラが基本で、3枚目以降には、何曲かゲストが加わるという感じ。Mark Orton は、本人のページを見ると映像音楽からオーケストラまで幅広い仕事をこなす人のようで、アヴァン・ギャルドな音楽シーンで他に名前を見かけることは殆どない。Rob Burger は、John Zorn の Film Work の常連さんで馴染み深いし、Carla は、Sleepytime 以外でも、2 Foot Yard や The Book of Knots (これも Sleepytime の Matthias Bossi のバンド)などでも名前が入っているが、その他の録音を見ても相当忙しくお仕事をしているらしい。とういことでアヴァン・ギャルドの血は相当濃く流れているバンドには違いない。

a0248963_13592972.jpg 1997年の活動開始のようで、初アルバムは1999年の Memory Is An Elephant 。どうもこの題名意味が取り難い、記憶は象のように巨大だ、ということだろうか、それが何を意味するのだろう?全11曲のうち、8曲が Orton 作品、とういことで実質的なリーダーは Orton と考えても良いと思う。Orton の演奏は、どちらかと言うと後ろに回った、カッティング中心の演奏でそれゆえ聴き易いのだろう。楽器編成を見ても判るとおり、ノスタルジックな雰囲気が出せる組み合わせであるが、その中にすっとアヴァン・ギャルドな雰囲気を滑り込ませて来るのが彼らのやり方。例えば9曲目の冒頭、10曲目の中盤、11曲目のトイ・ピアノの独創で終わったかと思うと、その後に変な男声と妙なストリングスの組み合わせに嵐のエフェクト。その緊張感があるからこそ、シンプルな編成でも聴かせてしまえるのかも。
 もっとも、このアルバムと次作は、殆ど3人のみの演奏が主体となっているので、やや地味な印象は拭えない。音の取り方は、ストレートで変なエフェクトは一切掛けておらず、楽器の音が一つ一つはっきりと聴こえてくるのは好感が持てる。

a0248963_140293.jpg 2000年の Herium 。同じ Angel Lebel からのリリース、エンジェルはもともとクラッシクのレーベルのようで、こんなレコードを作るのは珍しいのかも知れない。
 前作よりも華やかに聴こえるのはどうした訳か。冒頭1曲目のバンジョーの音が入り、Burger の Marxophon (ツィターの一種)が華やかさを添え、2曲目も明るい感じで取っ付き易く、その後も割りにメロディーがかっちりした曲が多いか。そうして見ると、曲の並べ方も重要な要素ということなのかと思う。15曲目は、Tom Waits のヴォーカルをメインに据えた大所帯のトラック。これ以降のアルバムでも1曲2曲はヴォーカル曲を入れるようになる。アクセントになり、それはそれで良い。

a0248963_1402652.jpg 3枚目が、The Rodeo Eroded 、2002年作。レーベルは Rope a Dope に異動、もっともプロデューサーは、Hans Wendl で Angel 時代とは変わっていないが。
 ノスタルジックな印象が一段と強調されているような気がする。冒頭1曲目からその印象が強い、また5曲目は Willie Nelson がヴォーカルを取るトラックだが、これも一層その感を強くする。表題の意味が「ロデオ(荒馬乗り、馬に縄を掛けるのを見せること)が侵食される」みたいで、古いものが新しいものに侵され無くなっていくような感じなのだろう。
 そして、ゲストの導入、特に Bryan Smith のチューバが良い味を出していてよい、2曲目と4曲目に参加。その他にも、3曲目に Billy Martin のパーカッション、4曲目と13曲目に Jonathan Fishman のドラムと、アクセントとしての打楽器も効果的。1枚目2枚目よりもかなり聴き易くなった、聴かせる工夫をしているという感じがする。

 ということで、Tin Hat の前半終了。その後、メンバー・チェンジもあり、音楽性も多少は変化していくが、その分類不可能な音楽性は変化しないまま。良く聴くのが3枚目から5枚目当りということで、(いつになるか判りませんが)紹介の後編には乞うご期待。
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by ay0626 | 2012-03-03 09:36 | 音楽-その他